酸化ジルコニア
純白色の粉体のジルコニアをもとにした酸化物で、酸化イットリウム等を5~10%添加し、室温での結晶構造を安定化させたもの。
特にイットリア安定化酸化ジルコニウムはイオン伝動性に優れいているが、他の安定化ジルコニアに比べ高価になる。
熱伝導率(W/m・k)は金属に比べて著しく低く、1/100程度と考えてよい。
曲げ強度に優れ1000Mpa前後の強度を持つ。
人工ダイヤと呼ばれるのは立方晶ジルコニアがダイヤモンドに似た屈折率を持ち、模造ダイヤと呼ばれるからである。
ジルコニアはクラック先端に圧縮応力が働くという特異なメカニズムを持つ。
これまでのセラミック系材料にない金属のような特性を示すためホワイトメタルともいわれる。
アメリカではすでにジルコニア単体でのクラウンなども用いられていて、
今後も増加傾向にあるということです。
日本では大信貿易がZENOシステムのなかで展開中。
ナノジルコニア(NA-NOZR)
セリア系のジルコニア結晶粒内にナノメーターサイズのアルミナ粒子を分散させた複合化組織によるセラミックス。(Al2O3が30vol%含まれるCe-TZP/Al2O3ナノ複合体)
酸化ジルコニアに匹敵する強度と、破壊靱性については酸化ジルコニアの約3倍の強度を持ち、イオン溶出、生体内特性劣化がなく生体親和性に優れ、化学的特性として高い耐食性を誇る。
ジルコニア粒のなかにはナノサイズの酸化アルミナ粒子が、酸化アルミナ粒のなかにはナノサイズのジルコニア粒子が取り込まれて複合化している。
ナノジルコニアは一般的なイットリア系ジルコニアに比べて破壊靱性がひじょうに高く、セラミック材料の弱点である「衝撃」に対して有効である。
焼結させるまで収縮を予測しづらいため、焼結後の削り出しになる。
そのため著しく生産性が低く、実用化については疑問がある。
ちなみに[nano]とは基礎となる単位の10億分の1のこと。
P-ナノZR
Fタイプ 完全焼結体(シリンダー形状で加工後に焼成不要)
Mタイプ 半焼結体 (シリンダー形状で加工後に焼成必要)
P-ナノZRフレームは通常0.3mmの厚みまで薄くすることが可能。
(強い咬合力が加わる部分は0.4mmを推奨)
半焼結体のナノジルコニアが加わり、今後は新たな展開がみられるかもしれない。
【扱い】パナソニック・デンタル
BRAND | システム名 | 本数制限 | 曲げ強度 | 発注先 | 焼成温度 | 熱膨張係数 |
NOBEL BIOCARE | PROCERA | なし | 1200 |
プロセラ ネットワークラボ |
1700℃ | 10.4 |
3M | Lava |
8歯 |
1272 |
Lava スキャナーラボ |
1500℃ | 10 |
デンツプライ三金 | CERCON | なし |
1050 |
各CERCONラボ | 1350℃ | 10.5 |
ノリタケ | 刀 |
6歯 57㎜×16㎜ |
1200 |
刀プロダクション センター |
1350℃ | 10.5 |
大信貿易 | ZENO |
なし |
1300 |
ZENO スキャナーラボ |
- | 10 |
GC | Aadba |
6歯 |
1200 |
アドバ スキャナーラボ |
1500℃ | 10.6 |
パナソニックデンタル | NANOZR |
なし |
1500 |
パナソニックデンタル | 1450℃ | 10.3 |
e.maxジルキャド |
6歯 65mm |
900 |
― |
1500℃ | 10.8 |
ジルコニアが普及し始めたころ、ジルコニアの硬すぎる点について懸念される声が聞こえたが、
実際に扱ってみると注水タービンで何のストレスもなく削れるということが分かる。
ジルコニアを普及させまいとする力が働いたのかもしれない。
どんな材料でも、器械でも、あらぬ噂が出るのが「業界」というものなのだろうか。
同じような話はレジンでも、金属でも、CAD/CAMでも沢山あるということを知っていなければ、間違いに振り回されてしまう。
ヨーロッパではcercon、日本、アメリカではLavaが一番選択されている。
ヨーロッパやアメリカでは日本のような閉鎖されたシステムではなく、
またCADで使用されているソフトも日本で使用されているソフトとは異なる。